サウンドマスキングのおすすめ製品5選! 仕組みや効果、メリット・デメリット、導入の流れなども解説

サウンドマスキングのおすすめ製品5選! 仕組みや効果、メリット・デメリット、導入の流れなども解説

本記事では、”サウンドマスキングとは何か”がわかるよう、仕組みや効果、メリット・デメリットなどを解説しています。導入の流れや注意点、具体的な製品もご紹介しているので、サウンドマスキングの導入イメージを湧かせたい方はぜひご覧になってください。
社員同士の会話やパソコンの入力音などによって、作業に集中しづらいことがあります。
ただ、防音工事をするとコストが高くなってしまい、対策に踏み切れない管理職の方も多いのではないでしょうか。職場におけるちょっとした会話や作業音の課題を解決したいのであれば、サウンドマスキングがおすすめです。
今回は、サウンドマスキングの仕組みや効果、導入の流れなどを解説します。メーカーの製品もまとめてご紹介しているので、職場に適した製品があればぜひ導入を検討ください。

サウンドマスキングとは

サウンドマスキング

仕組み

そもそもマスキングとは、「覆い隠す」「包み込む」などの意味を持っています。
悪臭を心地よい香りで包み隠して臭いを感じづらくするのが、マスキングの例として挙げられます。マスキングの考え方を防臭ではなく防音に役立てた仕組みがサウンドマスキングです。

サウンドマスキングは、特定の音を別の音で妨害して聞こえづらくする仕組みです。一般的には、設置したスピーカーから背景音を流して特定の音を聞こえづらくします。
たとえば、作業スペースに背景音を流しておけば、隣室からの音が背景音によって聞こえづらくなります。背景音は疑似空調音やヒーリング音楽などが採用されることもあり、メーカーの製品によって種類はさまざまです。

効果

私たちは、サウンドマスキングの効果を身近な場所でも体験しています。
たとえば、洗い物の水音によってテレビの音が聞こえづらくなることがあります。サウンドマスキングの実用的な効果は、会話の内容をわかりづらくすることです。会話の内容を不明瞭にすることで、情報漏えいのリスクを低下できるのはもちろん、話者のプライバシーも守れるようになります。

具体例として、パーティションで区切られた応接スペースの会話をわかりづらくすることで、来客が安心して相談できる環境を実現可能です。さまざまな場所で防音対策ができるので、パーティションを用いたレイアウトを気軽に行えるようになるでしょう。

種類

サウンドマスキングは、エネルギーマスキングと情報マスキングの2種類に分類できます。

ー エネルギーマスキング

エネルギーマスキングは、音のエネルギー差によって生じるサウンドマスキングです。
ザ―と聞こえるようなノイズを流します。ノイズと会話音声は分離して聞こえやすいので、会話を聞こえづらくするにはノイズの音量を大きくしなければなりません。また、ノイズはあくまで雑音であることから、人に不快感を与える恐れもあります。

ー 情報マスキング

情報マスキングは、エネルギー以外の要因によって会話の内容を聞こえづらくするサウンドマスキングです。
たとえば、人の会話音声を使って合成した音を流します。エネルギーマスキングとは違って、小さな音量でも効果を実感しやすいです。自然の音などを加えることで心地よさも付与できます。

サウンドマスキングのメリット

サウンドマスキング

空間のデザインを損なわない

サウンドマスキングはスピーカーを設置しますが、人の視覚に入らない場所に設置することも可能です。
たとえば、天井裏に配置することでオフィスや店舗のデザインを変化させずに導入できる製品があります。空間のデザインを損なわずに防音環境を改善したい方にピッタリです。

大がかりな工事が必要ない

サウンドマスキングは小さなスピーカーを設置するだけで導入できるので、遮音・吸音工事などと違って大がかりな工事が発生しません。1日~2日ほどで工事を完了できるケースもあるので、短期間に防音対策を講じたいときに便利です。
休日に工事を完了させれば、建物を利用する人々にも影響を与えないで済むでしょう。

社員の生産性が高まる

オフィスでは、エアコンやパソコンの稼働音、人の話声など、仕事中に気になってしまう音がさまざま発生します。
サウンドマスキングを導入すると、関係ない音が聞こえにくくなるので、集中力が低下しづらくなります。ただ、人は完全に遮音された空間だと、小さな音でも大きく不快に感じてしまいがちです。
サウンドマスキングは、集中するのに適度な音を発生させられるので、社員の生産性を高めたいときにおすすめの防音対策といえるでしょう。

サウンドマスキングのデメリット

サウンドマスキングには見落としてしまいがちなデメリットがいくつかあります。
導入したあとに後悔しないよう、サウンドマスキングのデメリットも解説します。

騒音を小さくできるわけではない

サウンドマスキングは防音対策ですが、あくまで騒音を聞こえづらくする仕組みであり、音を物理的に消したり小さくしたりできません。仕組みを理解していないと、サウンドマスキングを導入したあと、騒音が残っていることに不満を持ってしまうでしょう。
うるさい騒音環境を静かにしたいのでれば、壁を設置するなどの防音工事を検討する必要があります。

静かな場所に音が発生してしまう

サウンドマスキングのスピーカーを設置する場所は、音が漏れている場所と音漏れを聞く人がいる場所の2パターンを想定できます。
音が漏れている場所にスピーカーを設置すると、音漏れが聞こえてしまう場所にマスキング音が届きにくくなるので、音を大きくしなければなりません。したがって、音漏れを聞く人がいる場所にスピーカーを設置するのが原則です。
ただ、静かな場所にスピーカーを設置すると、マスキング音という新たな音が発生してしまう点に注意する必要があります。

サウンドマスキングの活用方法

サウンドマスキングはさまざまな場所で防音対策として活用されています。
活用するイメージが湧きやすくなるように、オフィスや家庭、病院などにおける活用方法をご紹介します。

オフィス

オフィスでは執務エリアや会議室、来客スペースなどで活用する方法があります。

ー 会議室

会議室では、社内のメンバーとプロジェクトについて話し合う場面があります。
会社には顧客が来社している場合もあり、新サービスや新製品の機密情報が漏れてしまえば、アイデアを流用されてしまう恐れもあるでしょう。

また、会議室は従業員が職場の悩みを相談する場所でもあります。
部屋の付近を通りかかった社員に会話が漏れてしまえば、従業員が会社に居づらくなってしまうでしょう。

サウンドマスキングで会議室の会話漏れを防げば、機密情報の漏えいやプライバシーの侵害を防げます。

ー 執務エリア

執務エリアでは、ほかの部屋からの会話漏れや社内セミナーの大きな声などが聞こえてしまうことがあります。
声が気になってしまえば、社員が業務に集中しづらくなってしまいがちです。

サウンドマスキングを音源のある個室の外側に導入すれば音漏れを防げます。ただ、部分的に導入すると、マスキング音が発生する場所、発生しない場所による違和感が生じてしまいがちです。違和感を解消したいのであれば、執務エリア全体にサウンドマスキングを導入する方法も検討してみましょう。

ー 来客スペース

来客スペースでは、電話応対をする事務職員の声や、社員同士の会話が来訪者に聞こえてしまいがちです。
来客に会話が漏れているかもしれないという不安は社員に余計な気苦労を与え、意思疎通がおろそかになってしまいます。
サウンドマスキングで来客スペースへの会話漏れを対策すれば、社員のコミュニケーションが活発化するでしょう。

家庭

サウンドマスキングには、家庭でも暮らしを改善できる効果が期待されています。
たとえば、自宅の周辺から発生する騒音を紛らわす音のカーテンとして活用できます。

鉄道の騒音が気になる場合や、家族のいびきがうるさくて起きてしまう場合などに効果的です。睡眠環境に適した音を発生させる製品も登場しており、自宅で安眠するためのアイテムとして検討可能です。

病院

病院には医師が患者にカウンセリングや診察を行うスペースがあります。
壁と天井の間にすき間が開いていたり、扉の素材が軽かったりすると、患者が音漏れを気にして悩みを相談しづらいです。病院でサウンドマスキングを導入すれば、カウンセリングや診察時の話声をほかの来院者に聞こえづらくできます。

ヒーリング系のマスキング音を流せば、院内に心地よい空間も実現できるでしょう。

サウンドマスキングを導入する流れと注意事項

サウンドマスキングの活用方法を知って、実際に導入してみたいと思った方もいるでしょう。
引き続き、サウンドマスキングを導入するときの流れや注意事項をまとめます。
なお、注意事項が気になった方のために別の解決策も紹介していますので、あわせてチェックしてみてください。

導入の流れ

設計の専門家に相談して、防音対策の費用対効果が薄い場合、サウンドマスキングを検討します。

サウンドマスキングを導入するときの流れは下記の通りです。

  • ●ステップ1:専門業者に現在の音漏れの課題を共有する
  • ●ステップ2:会話漏れや建物の特性などを測定器で調査してもらう
  • ●ステップ3:調査にもとづきスピーカーの設置計画を立案してもらう
  • ●ステップ4:マスキング音の拡散範囲をシミュレーションしてもらう
  • ●ステップ5:専用ソフトでマスキング音の音質・音量を最適化してもらう

注意事項

サウンドマスキングを導入するときは、漏れている音と同じくらいの音量でマスキング音を流すのが一般的です。
しかし、遮音性が低いローパーティションやオープンスペース上に導入するときは、マスキング音が大きくなってしまいがちです。マスキング音が大きくなってしまうと、人によっては気になってしまう可能性があり、業務に支障をきたす傾向があるといわれています。
マスキング音が大きくなってしまいそうな場合は、ほかの防音対策も検討したほうがよいでしょう。

解決策1.Web会議ブースを導入する

Web会議ブース(テレワークブース)の一覧・検索

サウンドマスキングの音量が大きくなってしまう場合の解決策として挙げられるのが、Web会議ブースを導入することです。

Web会議ブースとは、周囲の音や視線を遮断できる集中ブースです。
一人で作業を行うときだけでなく、複数人で打ち合わせをするときなどにも利用できます。Web会議ブースを導入すれば、サウンドマスキングの音がうるさいと感じたとき、音が気にならない場所で作業できます。

Web会議ブースを利用する場合は、公共の場にあるブースを利用するパターンと、オフィスに設置するパターンがあります。

【公共の場にあるブースを利用する】
オフィスビルや商業施設、駅などに設置されているWeb会議ブースを利用する場合、スマホやパソコンなどから予約して、QRコードをかざして入出します。
目安として、月30時間程度であれば、月額30,000円ほどから利用可能です。プランの時間を超過しても、追加料金を支払えば延長して利用できる場合もあります。
Web会議ブースを導入するのが不安な方は、ひとまず公共の場にあるブースをレンタルしてみるとよいでしょう。

【オフィスに設置する】
Web会議ブースをレンタルせずオフィスに直接設置には、購入費用は目安として数十万円ほどかかりますが、長期的に利用するのであればお得になります。
さまざまなメーカーからWeb会議ブースが販売されており、寸法や防音性、換気機能、料金などが異なっているので、よく比較して選ぶことが大切です。
Web会議ブースの導入に少しでも不安を感じる方は、ショールームで製品を見学してみるとよいでしょう。

Web会議ブースを見学できるショールームをご紹介していますので、気になった方はぜひチェックしてみてください。

解決策2.レンタルオフィスを活用する

社内の音が気にならない働き方を実現したいのであれば、レンタルオフィスを活用する方法もあります。

レンタルオフィスとは、仕事に必要なビジネススペースをレンタルできるサービスです。
完全個室のスペースをレンタルすれば、周囲の視線や音を気にせず業務に集中できます。インターネット環境やオフィス家具なども利用可能なので、普段通り不便を感じず業務に専念できるでしょう。
防犯カメラやオートロックなどを導入しているレンタルオフィスであれば、情報漏えいや盗難などが気になる場合でも導入しやすいです。

レンタルオフィスのメリットやデメリット、選び方などを詳しく知りたい方はチェックしてみてください。

解決策3.フリーアドレス制を検討する

サウンドマスキングの音が気にならない場所で働ける仕組みとしてフリーアドレス制も検討できます。

フリーアドレス制とは、社内で働く席を固定せず、個人の判断で好きな場所に移動して働ける仕組みです。
仮にマスキング音が気になる場所があっても移動できるので、ストレスを抱え続ける心配がありません。社員の動きが活発化することで、普段関わらない社員と会話するきっかけも生まれやすくなります。交流が増えれば新たなアイデアも湧きやすくなるでしょう。

気になる価格は?サウンドマスキングのおすすめメーカー5選

ここまでお伝えした内容から、オフィスの防音課題を解決する手段として、サウンドマスキングに興味を持っていただけたのではないでしょうか。
サウンドマスキングの製品はさまざまなメーカーから提供されており、どのメーカーを選べばよいか迷ってしまう方もいるかもしれません。
引き続き、サウンドマスキングのおすすめメーカーをご紹介します。

usen

usenは、圧倒的な音源数や高い選曲クオリティを誇るBGM業界のトップカンパニーです。
usenでは「Sound Design for OFFICE」というオフィスBGMのサウンドマスキングソリューションを提供しています。音楽によるマスキング効果で職場に快適な空間を提供可能です。

たとえば、パソコンをカタカタたたく音やほかの人の話声などを、音楽によるマスキング効果で気にならないようにできます。J-POPやクラシック、ポップスなどさまざまなジャンルの音楽を流すことで、職場の雰囲気を和らげることも可能です。
いろいろな音楽を試して職場に適した防音環境を実現していきたい場合にピッタリでしょう。価格については問い合わせが必要です。

YAMAHA

YAMAHAは、楽器事業や音響機器事業、電子部品事業などを展開しているメーカーです。
スピーチプライバシーシステム「VSP-2」というサウンドマスキング製品を提供しています。

人の会話音声から合成した独自の情報マスキング音に、川のせせらぎの環境音や楽器音の演出音などを組み合わせることで、マスキング効果と心地よさを両立しています。スピーカーは手のひらにのるコンパクトサイズで、壁や天井に簡単に取付可能です。ブラックとホワイトの2種類を用意しているので、設置環境の色彩に応じて選択しやすいでしょう。希望小売価格:195,800円(税込)です。

GLAM SLAM

GLAM SLAMは、音響設計や音楽コンテンツ制作を手がけているメーカーです。
ヒーリング音楽で会話漏れを包み隠す「リリーバー」というサウンドマスキング製品を提供しています。

マスキング音は心地よさを感じるようにアレンジされており、ノイズ音に抵抗がある方でも導入しやすくなっています。シンプルなメロディーなので聞き流しやすく、作業の妨げにもなりづらいでしょう。専任スタッフが会話漏れの特性に応じて、マスキング音の拡散範囲のシミュレーションや音質・音量のチューニングを行ってくれます。自社に適した防音環境を追求したい方にピッタリのサービスです。料金は、施工工事なしの場合は18万円から、施工工事ありの場合は21.5万円からとなっています。

okamura

okamuraは、スチール家具や商品陳列機器、オフィス製品などの製造・販売を行っているメーカーです。

室内音響調整システム「Sound Conditioning System」は、スピーカーから継続的に柔らかな特殊サウンドを発生させ、隣室の会話内容を聞き取りづらくします。
コントローラーと接続できるスピーカーの最大数は20台となっており、スピーカー1つあたりの効果範囲は約10m²です。パーティション内蔵タイプは、部屋と部屋を仕切るパーティションの内部にスピーカーを設置できます。パーティション表面には何も装着しないので、室内の見た目を変化させずに防音環境を整えられます。そのほか、コントローラーの操作部分に点検カバーを装着し、誤操作を防止している点が親切です。参考価格:200万円(税込)となっています。

KOKUYO

KOKUYOは、文房具やオフィス家具の製造・仕入れ・販売を行っているメーカーです。
空間デザインのコンサルテーションも手がけています。

KOKUYOのサウンドマスキングサービスは、独自の間接音方式を採用しているのが特徴です。
天井内に上向きに設置し、背景音を反射させて自然な音を流せるようになっています。室内からはスピーカーが見えないので、職場や店舗の見た目を変化させずに導入可能です。1~2日ほどで工事が終わるため、休日に導入したい方にもおすすめできます。

まとめ

今回は、サウンドマスキングの仕組みや効果、メリット・デメリットなどを解説しました。

サウンドマスキングは、背景音を流すことで不要な音を聞き取りづらくする仕組みです。スピーカーの設置による防音対策なので、大掛かりな工事が必要なく短期間で導入できます。

音を不明瞭にする効果はありますが、音を完全に消せない点に注意が必要です。オフィスの防音環境に課題を抱えている場合は、注意点をふまえたうえで導入を検討してみましょう。

よくある質問

音漏れを完全に聞こえなくすることは可能ですか?
サウンドマスキングは、あくまで音を聞こえづらくする仕組みです。音を完全に聞こえなくする仕組みではありません。ただ、マスキング音を大きくすることで、音漏れを完全に聞こえなくすることはできるかもしれません。
しかし、マスキング音が会話の妨げになったり、室内が不快な音空間になったりするリスクには注意が必要です。
ノイズキャンセリングとの違いは?
ノイズキャンセリングは、サウンドマスキングと同様に防音に役立つ技術ですが、マスキング音の性質が異なります。サウンドマスキングは、マスキング音で会話などを不明瞭にするとき、同じ周波数が含まれている音でカバーします。
その一方でノイズキャンセリングは、逆位相の音波をぶつけることで不要な音を打ち消します。
サウンドマスキングと異なって、音を不明瞭にするのではなく、打ち消している点が大きな違いだといえるでしょう。
音楽を流す製品だと作業の邪魔になる?
音楽の種類によっては作業の邪魔になってしまうことがあります。
たとえば、曲に歌詞が入っているオフィスBGMだと、意識が歌詞に向いてしまって集中力や作業効率が下がってしまいがちです。したがって、サウンドマスキングの効果を狙ってオフィスBGMを導入するときは、歌詞のないBGMを選択する必要があります。作業の邪魔にならないためには聞き流せることが重要です。メロディーだけの場合も起承転結がはっきりとしていない抽象的な内容が望ましいでしょう。
サウンドマスキングを試す方法は?
サウンドマスキングを試す方法としてライブオフィスの見学がおすすめです。ライブオフィスとは、実際に社員が働いているショールームタイプのオフィスです。サウンドマスキングを体感できるライブオフィスを公開しているメーカーもあります。
会話や作業音がどのように聞こえづらくなるのか体感すれば、製品を安心して導入できるでしょう。
ライブオフィスの意味やメリット、実施している企業を詳しく知りたい方は今注目されるオフィス見学ツアー(ライブオフィス)とは?もご覧になってください。