「1on1ミーティング」の目的は?今すぐできるやり方をわかりやすく解説

1on1ミーティングとは、部下と上司が1対1で定期的に行う面談のことで、 回を重ねるごとにお互いの信頼関係を構築できるコミュニケーションの方法です。
近年では日本でも、ヤフー株式会社を始めとする大企業が導入していることで知られています。この記事では「1on1ミーティング」の目的やメリット・デメリット、進め方などについてわかりやすく解説をします。これから導入を検討している企業の方はぜひ、参考にしてください。
1on1ミーティングとは
ここでは、「そもそも1on1ミーティングとは何?」という疑問について、簡単に解説をしていきます。
部下と上司が1対1で行うミーティング
1on1ミーティングとは、部下と上司が1対1で定期的に実施するミーティングのことです。頻度としては、「1週間に1回」「2週間に1回」「月に1回」などのペースで行われ、1回の面談に要する時間は一般的に30~60分程度となります。
1対1なので他者に気を遣うことなく、部下が上司に意見を述べられる貴重な機会です。
近年では1on1ミーティングを導入する日本企業も増え始め、有名な会社では「ヤフー株式会社」「日清食品株式会社」「クックパッド株式会社」などが社内コミュニケーションの一環として取り組んでいます。
ミーティングの主役は部下
あくまでも主役は「部下」のため、上司は「いかに部下が心を開いて話せるようにするか」を意識する必要があります。
人事評価のために行う面談とは違い、上司と部下の信頼関係を構築したり、業務上の課題などを見つけたりすることが目的です。
したがって、基本的に「部下に自由に話をさせる」ことがメインとなります。
主な目的
1on1ミーティングは、もともとアメリカ・シリコンバレーの企業から始まった人材育成方法の一つです。
近年では日本においてもさまざまな大企業が次々と導入していますが、もちろんそれには理由がありますのでご紹介をします。
信頼関係を構築して部下の能力を引き出す
実施する目的の一つは、上司と部下の信頼関係を構築して部下の能力を引き出すことです。上司は部下が抱えている問題や課題を把握して、仕事に対するパフォーマンスを向上させるようにします。部下が行うべき行動のすり合わせをすることにより、業務の効率化や仕事の質を上げる手助けを行えます。
また、上司と話し合うことにより、「部下自らが解決できるようになる」「部下自身が隠されていた能力に気づく」など、スキルアップへとつながります。
企業内のさまざまな問題を解決し社内を活性化する
1on1ミーティングをすることにより、上司は現場の様子などをリアルに把握できるようになります。今まで気づかなかったさまざまな問題を確認して解決することで、社内の空気を活性化することが可能です。
1対1で行うメリット・デメリット
ここでは、1on1ミーティングを行う際のメリット・デメリットについて解説をしましょう。
メリット
1on1ミーティングを行う際に得られる主なメリットは以下の3つです。
- ● 部下との信頼関係が深まる
- ● 優秀な人材の育成につながる
- ● エンゲージメントが向上して離職率が低下する
部下は上司に対して、なかなか本音を言いにくいものですが、回数を重ねるごとに上司と部下の間のコミュニケーションがスムーズに取れるようになっていきます。心を開いて話すことにより、互いの信頼関係が深まるのがメリットです。
部下が上司に意見を言いやすくなると、業務に関する改善策などを提案しやすくなるため、仕事へのモチベーションが向上してスキルや能力が磨かれていくようになります。優秀な人材の育成へとつながり、社内全体の生産性が向上するのも良い点です。
部下が仕事や会社に対して抱えている悩みなどを解消していけば、会社へのエンゲージメントが向上して離職率の低下も期待できるようになります。部下を取り巻く環境や業務に関する問題点などを上司が理解でき、正当な人事評価も行えます。
デメリット
1on1ミーティングを行う際に得られる主なデメリットは以下の3つです。
- ● 実施回数が多いので時間を取られる
- ● 部下が上司に本音を言いづらい
- ● 目的を共有しにくい
1on1ミーティングを実施する回数は頻繁なため、上司は時間を取られてしまいがちなのがデメリットです。部下の人数が多いと、かなりの時間を費やさなければなりません。
繁忙期などは月に4回のところを2回に減らすなどして、時間を調整することも必要です。
また人によっては、上司に対してなかなか本心を伝えられないこともあるでしょう。上司は部下が、気兼ねなく話せるような雰囲気を身につけなければなりません。
せっかく話し合いの場を設けても、部下にとって興味のないことや関係性の薄いテーマでは意味がなく、適切な目的を共有することは難しい面もあります。
上司は部下が相談しやすい姿勢を身につけるとともに、事前に全体の流れや要点をまとめたシートなどを用意してスムーズにミーティングを進められるようにしてください。
上手な進め方【流れ】
スムーズに実施するには、以下のような流れで進めていきます。
- 1. テーマを共有する
- 2. ミーティングの設定
- 3. ミーティングの実施
- 4. 内容を振り返る
それぞれのステップについて解説をします。
1.テーマを共有する
最初のステップは、目的は何なのかを共有することです。
実施する際には、その意味や目的を部下に伝えておきます。
ただ、「1on1を行う」と伝えるだけでは、何のためにするのか意味がないと思われるからです。事前にテーマを共有することで、部下の方でも「こういうことを話しておこう」と事前準備をしてくれます。部下にとっても、仕事がしやすい環境を整えるために必要であることを理解してもらいましょう。
2.ミーティングの設定
次のステップは、ミーティングの設定をすることです。
1on1ミーティングは、短い時間で定期的に実施するようにします。
話すテーマや目的を決めて、具体的なスケジュールや実施場所を設定してください。
実施する際、話すテーマをシートなどで一覧にし、質問する内容などを決めておくと、当日の話し合いがスムーズにはかどります。
3.ミーティングの実施
次は、いよいよ実際に1on1ミーティングを実施します。
ミーティング中は、上司・部下ともに会話の内容を記録して、後日、振り返りができるようにしておきます。部下が知られたくない内容は、慎重に共有する必要があります。
上司と部下の信頼関係を壊さないように十分、気をつけましょう。
部下が本音を話しやすくするため、会議室やWeb会議ブースなど、第三者に聞こえにくい場所で行うのがポイントです。話し合うときには部下の話をよく聞いて、自由に話してもらいましょう。
なお、話した内容を「ミーティングシート」にメモしておくと聞きもらしを防げるのでぜひ、活用してください。
ミーティングシートのサンプル例は以下の通りです。部下に対して聞いてみたい内容を一覧化して記載しておきます。
- ・ 氏名
- ・ 実施日
- ・ 現在の仕事の目標
- ・ 現在の組織に対して感じていること
- ・ 今後挑戦してみたい仕事
- ・ 業務で感じている課題について提案したいこと
- ・ 仕事で困っていること・悩んでいること
- ・ このミーティングで気づいたこと
- ・ フィードバック
- ・ 備考
4.内容を振り返る
1on1ミーティングを実施した後は、必ず内容を振り返り、部下に対してフィードバックやアドバイスなどを行います。
振り返りをする際に確認する内容には以下のようなものがあります。
- ● 出てきた質問や提案の内容
- ● 質問や提案に対しての対応(回答期限・誰が対応するかなど)
- ● 1on1ミーティング後に行うべきこと
- ● 次回の日程や話したいこと
話した内容や課題はそのまま放置せず、必ず何かしらの対応をしましょう。
上司だけで解決できない問題もあるため、ケースによっては他のメンバーに相談することも必要です。
得られる効果
1on1ミーティングを実施することで得られる効果には以下のようなものがあげられます。
ここでは、それぞれの効果についてご紹介します。
- ● 部下とのコミュニケーション不足を解消できる
- ● 部下の成長を促せる
- ● 業務がスムーズにはかどる
部下とのコミュニケーション不足を解消できる
1対1で話し合うことにより、上司は部下とのコミュニケーション不足を解消できるという効果を得られます。定期的に行うことで、上司と部下の間の距離が自然と縮まり、お互いに話しやすいようになれるのがメリットです。
1on1ミーティングを実施する前には伝えられなかったことを言えるようになるため、上司は部下の本音や現場の状況をリアルに把握できます。
部下の成長を促せる
回数を重ねるごとに、部下は自分の体験や仕事の仕方を客観的に振り返る習慣がついてきます。第三者から「気づき」の機会を与えられることにより、将来に向けてのキャリアアップに目覚めることもあるでしょう。このような経験を重ねることで、部下の成長を促せる効果を期待できます。
業務がスムーズにはかどる
上司が部下の一人ひとりとの対話をしてコミュニケーション不足を解消することにより、社内全体のパフォーマンスを向上させることも可能です。上司に業務上の悩みや不安を話すことにより懸念材料を解消でき、業務がスムーズにはかどるようになります。
上司との信頼関係を構築できると安心しながら仕事に集中できるため、生産性の向上も期待できます。
注意したい3つのポイント
実施する際の注意点は以下の3点です。
- ● 上司と部下のどちらかが一方的に話さない
- ● 事前に会話のテーマを共有しておく
- ● 相手が心を開いて話せるような雰囲気をつくる
それぞれの注意点について、簡単に解説をします。
上司と部下のどちらかが一方的に話さない
1on1ミーティングでは、お互いに話し合うというコミュニケーション方法が大切です。
上司と部下のどちらかが一方的に話すのではなく、双方とも相手の話す内容に耳を傾けましょう。
なお、基本的に1on1ミーティングの主役は部下なので、部下の意見や考え方をじっくりと聞くことが肝心です。上司は部下が話しやすい雰囲気づくりを心がけましょう。
事前に会話のテーマを共有しておく
ミーティングをスムーズに進めるために、事前に会話のテーマを共有しておくことも必要です。部下の数が多い場合は、あらかじめ部下にミーティングのテーマを選んでおいてもらいましょう。事前に会話のテーマを共有しておくことにより、効率的にミーティングを実施することができます。
相手が心を開いて話せるような雰囲気をつくる
部下が安心して心を開けるような雰囲気づくりをすることも重要なポイントです。
せっかく1on1ミーティングを実施しても、部下は上司に対して心理的な安全性を抱いていなければ本音で話すことができません。「この上司なら、本心を明かしても大丈夫」と部下に思われるような、信頼できる上司を目指しましょう。
適している空間【集中ブース】
1on1ミーティングをスムーズに進めるには、クローズドな空間が必要です。
オープンな空間では、誰かが聞いていないとも限らず、特にデリケートな問題を含んでいる場合は話すことができません。できれば会議室などが良いですが、他の業務で使用する機会も多いので、もう少しコンパクトなミーティングルームもあると便利です。
ここでは、1on1ミーティングに適しているブースについて解説をします。
セミクローズ型の集中ブース:ファミレス型ブース/2〜4名用
リラックスした雰囲気で1on1ミーティングを行うときに最適なのが、ファミレス型ブースです。パーテーションなどでゆるく区切られており閉塞感を感じないので、気軽にコミュニケーションできます。ウレタンフォームがパネルに内蔵されているタイプならば、周囲の雑音も軽減され、ブース内の話し声も漏れにくいので安心です。
セミクローズ型の集中ブースにご興味がある人は、以下のリンク記事をご覧ください!

完全個室型ブース:Web会議ブース/2名用
プライベートに関することや、会社の機密事項に関わるような話し合いなど、社内の人といえども第三者に聞かれたくない場合には、完全個室型の「Web会議ブース」が最適です。
Web会議ブースは完全に密閉された空間なので、安心して重要な内容のミーティングを行うことができます。完全個室型とはいえガラス張りなので、それほど閉塞感を感じることはありません。遮音性・吸音性に優れており、静かな環境の中でミーティングを実施することが可能です。
2名用のWeb会議ブースについてさらに詳しく知りたい人は、以下のリンク記事を参考にしてください!

まとめ
今回は、「1on1ミーティング」の目的や効果などについて詳しく解説をしました。
上司と部下の信頼関係を構築することにより、人材育成や業務上の課題解決、社内のコミュニケーションの円滑化など、さまざまな効果を会社にもたらすミーティング方法です。1on1ミーティングを上手に活用することにより、企業の生産性をさらに向上し、優秀な人材が長く定着するようになります。
よくある質問
- 1on1ミーティングで効果を高める質問には何がありますか?
- テーマに迷ったときは、次のような話題を選んでみてください。
1on1ミーティングを採用する目的や、部下の状況にマッチした話題をセレクトしましょう。
・ 部下のプライベートについて(例:休日は何をして過ごしていますか?)
・ 現在の業務や組織が抱えている問題・課題(例:チームでの業務に問題がありますか?)
・ 将来的なキャリアの方向や取得してみたい資格(例:将来はどのような職種にチャレンジしたいですか?)
・ 体調や精神面の健康確認(業務に関してストレスはありますか?) - 1on1ミーティングの初心者でも利用できる「会話のテクニック」を教えてください。
- 「オープンクエスチョン」と「クローズドクエスチョン」を使い分けることがポイントです。「オープンクエスチョン」とは、回答者が自由に答えられる質問の方法で、「どのような方法が良いと思いますか?」「将来的なビジョンは何ですか?」などというように、部下から多くの意見や考え方を聞くことができます。
一方、クローズドクエスチョンは、「はい・いいえ」の2択や「答え1・答え2・答え3」の3択など、質問者の方で回答を用意する質問の方法です。部下の意見や気持ちなどをはっきりと簡潔に知ることができます。これらのテクニックを活用して、有意義なミーティングタイムにしましょう。 - 1on1ミーティングを導入している企業の事例について教えてください!
- 日本でいち早く1on1ミーティングを導入したことで知られているのは、「ヤフー株式会社」です。現在は、従業員の9割が隔週で約30分の1on1ミーティングを2週間に1回以上、行っています。上司と部下のコミュニケーションが良好になり、フィードバックやサポートで部下の能力を磨いています。
- なぜ、1on1ミーティングが注目されているのですか?
- 現在の社会は多様化し、従業員を取り巻く環境が複雑化していることが要因の一つです。例えば、家庭により社員の事情(子育て、親の介護、女性の働き方など)には違いがあり、長期的に安定した状態で社員に働いてもらうには、個々に適した環境づくりが必要となります。社員一人ひとりの事情や考えを知ることで、働きやすい職場環境を構築でき、ひいては離職率の低下へとつながります。